20歳のときに知っておきたかったこと

公開日: : 最終更新日:2014/02/04 書評

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本書で筆者が言いたかったことは、以下の箇所に集約されていると思う。

種明かしをすると、これまでの章のタイトルはすべて、「あなた自身に許可を与える」としてもよかったのです。わたしが伝えたかったのは、常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で進路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可を、あなた自身に与えて下さい、ということなのですから。じつはこれこそ、わたしが20歳の時、あるいは30、40のときに知っていたかったことである、50歳のいまも、たえず思い出さなくてはいけないことなのです。

目次

第1章 スタンフォードの学生売ります

自分の殻を破ろう

第2章 常識破りのサーカス

みんなの悩みをチャンスに変えろ

第3章 ビキニを着るか、さもなくば死か

ルールは破られるためにある

第4章 財布を取り出してください

機が熟すことなどない

第5章 シリコンバレーの強さの秘密

早く、何度も失敗せよ

第6章 絶対いやだ! 工学なんて女がするもんだ

無用なキャリア・アドバイス

第7章 レモネードがヘリコプターに化ける

幸運は自分で呼び込むもの

第8章 矢の周りに的を描く

自己流から脱け出そう

第9章 これ、試験に出ますか?

及第点ではなく最高を目指せ

第10章 実験的な作品

新しい目で世界を見つめてみよう

感謝の言葉

解説 「異質なこと」をする能力(三ツ松新)

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人は失敗をした時、自分を責めすぎることがよくあると思う。自分も失敗をした時に自分を責めすぎているのでは?と感じることがある。本書では、「失敗は外的な物である」としている。

リスクを取ってうまくいかなかったとしても、あなた自身が失敗者なのではない、ということも覚えておいてください。失敗は外的なものです。こうした見方ができれば、失敗しても立ち上がり、何度でも挑戦できます。失敗したのは、アイデアがよくなかったからかもしれないし、タイミングが悪かったのかもしれません。必要な資源がなかったのかもしれません。ジェフ・ホーキンスはこう言っています。「自分は、自分の会社と一体ではないし、製品と一体でもない。往々にして同一視しがちだが、失敗したからといって自分が失敗したわけではない。あるいは成功したときですら、自分の成功ではない。会社や製品は失敗することがあっても、自分が失敗者なのではない」。失敗は学習のプロセスにつきものなのだということを肝に銘じておいてください。失敗していないとすれば、それは十分なリスクを取っていないからかもしれません。

本書では、アップルのCEOであるスティーブ・ジョブズのスピーチからの引用が何度か登場する。

ジョブズのスピーチ

六ヶ月後、わたしは大学に価値が見いだせなくなっていました。人生で何をしたいのか見当もつかなかったし、大学がそれを見つけるのに役立つかどうかもわかりませんでした。その時点で、両親がそれまでに蓄えた貯金をすべて使い果たしつつあったので、わたしは大学を中退することにしました。万事それでうまく収まると信じていました。そのときはとても不安でしたが、振り返ってみると、最良の決断のひとつだったと言えます。中退した途端に、興味のもてない必修科目の授業には出なくてもよくなり、面白そうな授業にもぐりこむようになりました。

当時のリード大学はおそらく、アメリカで最高のカリグラフィー(装飾文字)の授業を行っていました。キャンバス内に貼られたポスターや引き出しのラベルの文字は、すべて手書きの美しい飾り文字でした。わたしは中退して普通の授業を受ける必要がなかったので、カリグラフィーの授業をとって、手法を学ぶことにしました。セリフとサンセリフの書体、文字の組み合わせにより文字間のスペースを変えること、すばらしい写植はどこが素晴らしいのかを学びました。美しく、歴史があり、科学では捉えきれない芸術的な繊細さがありました。わたしにはそれが魅力的だったのです。

どれひとつとして、わたしの実生活に役立つ見込みがあったわけではありません。でも10年後に、最初のマッキントッシュを設計しているときに、一挙に蘇ってきたのです。そして、それらをすべてマッキントッシュの設計に取り入れました。マックは美しい印刷技術を備えた最初のコンピューターでした。わたしが大学を中退していなければ、カリグラフィーの授業を受けることはなく、マックが複数のフォントやプロポーショナル・フォントを備えることはなかったでしょう。そして、ウィンドウズはマックを真似ただけなので、どのパソコンもそうした機能を持つことはなかったでしょう。わたしが大学を中退していなければ、カリグラフィーの授業を受けることはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしい印刷技術を備えることはなかったかもしれないのです。もちろん、大学時代のわたしが、将来を見越して点と点をつなぐことなど不可能でした。でも、10年後に振り返ってみると、点と点がつながっていたのは明白なのです。

このスピーチで強調されているのは、経験がいつ役立つかはわからない、という点です。スティーブ・ジョブズは開かれた心の持ち主であり、好奇心も旺盛でした。だから目先の利益にとらわれず、幅広い経験をし、予想もしない形で知識を活かすことができました。経験を積み、知識の幅が広がれば広がるほど、自分の引き出しは増えるーーーそのことを教えてくれているのです。

「もちろん、大学時代のわたしが、将来を見越して点と点をつなぐことなど不可能でした。でも、10年後に振り返ってみると、点と点がつながっていたのは明白なのです。」という点には、自分も思い当たることがいくつかある。

  • 小学生の頃にゲーム制作をしていた経験が、iPhoneゲームアプリのゲームデザインをする上で非常に役に立った。まさか携帯電話のゲームアプリを作ることになるとは思わなかった
  • 大学を卒業してからすぐに、医療機器関係の画像処理ソフトウェアや自動診断ソフトなどのオリジナルUIをスクラッチで作っていたが、その経験が、iPhoneデコメアプリのUIを作るのに大いに役に立っている。まさか医療ソフトでの経験が、デコメアプリで活きてくるとは思わなかった
  • 大学生の頃にもてたくてナンパ師に弟子入りしたのだが、その時の経験が、プレゼンやLTなどで大いに役に立っている。特に時間が5分間しかないLTにおいては、会場の雰囲気を即座に読み取り、プレゼン内容をアドリブで変化させていくことが重要である

また、本書では交渉についても触れている。

交渉を成功させるカギは、全員にとって最大限に有利な結果を引き出せるように、全員の利害を探り出すことです。とはいえ、これは言うが易で、実際にはなかなかそうできません。というのは、交渉で有利になると思って、自分の利害をあきらかにしない人が多いからです。しかしながら、この作戦は誤りです。実際には、こちらが望むことが、交渉相手が望むことと一致しているかもしれないからです。

最近、車を買ったときの顛末をお話ししましょう。わたしができるだけ安く買いたいと思っているのだから、販売担当者はできるだけ高く売りたいのだろうと思っていました。でもわたしは、この仮説を検証してみようと思い立ちました。そこで、試乗しているあいだに自動車業界についてあれこれ尋ねました。どういう報酬体系になっているのかも聞いてみました。すると、この担当者の歩合は、わたしに売る値段とはまったく関係ないことがわかりました。ボーナスは、売った車の値段に関係なく、顧客からの評価に基づいて決まるというのです。それを聞いてわたしは、「それならお安い御用よ。お値段を勉強してくれたら、いい評価をするわ」と言いました。お互いが得をするウィン・ウィンの状況を見つけたのです。時間をとって相手の利害を探ろうとしていなければ、お互いの利害が一致することなど気づきもしなかったし、想像もできなかったでしょう。

最近、何でも秘密にしたがる人をよく見かけるが、それが不毛な結果を生むことが少なくない。まずはこちらの希望を伝えてみよう。意外にも利害が一致していることが多い。

「将来が不確実なのは歓迎すべき事なのだと、誰かが教えてくれればどんなによかったのに、と思います。」としている以下の文章も、非常に刺激を受けると思う。

この本の物語で伝えたかったのは、快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということでした。もちろん、こうした行動は、人生に混乱をもたらし、不安定にするものです。でも、それと同時に、自分では想像もできなかった場所に連れて行ってくれ、問題がじつはチャンスなのだと気づけるレンズを与えてくれます。何よりも、問題は解決できるのだという自信を与えてくれます。25年前に書いた詩を読んで思い出すのは、20代の頃、次のカーブに何が待ち受けているのかわからなかったが故に抱いた不安です。将来が不確実なのは歓迎すべき事なのだと、誰かが教えてくれればどんなによかったのに、と思います。この本の中で紹介した物語が教えてくれているように、予想できる道を外れたとき、常識を疑ったとき、そしてチャンスはいくらでもあり、世界は可能性に満ちていると考えることを自分に許可したときに、とびきり面白いことが起きるのですから。

僕は何度か転職をしているが、その際に信じたのは、少女革命ウテナというアニメの中に出てくる以下のセリフだった。

「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。雛は我らだ、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ、世界を革命するために」

ウテナ:ねえ、これからボクたちの行くところは、道のない世界なんだ。そこで、やっぱりボクたちは、ダメになるかもしれない。

影絵少女E:そうよ、外の世界に道はないけど、

影絵少女F:新しい道を造ることは出来るのよね。

ウテナ:だからボクらは行かなくっちゃ。ボクらが進めば、それだけ世界は拡がる。きっと。

また、社会では異質なことを行うと白い目で見られたりすることが多いが、世の中を変えてきたのは、異質な物だったはずである。

ではそんな時、何をすればいいのか?

ずばり「異質なこと」です。これが簡単なようで難しい。成長している間はその成長を維持するために、昨日と同じ事をより良くすることに注力すればよかった。だから学校教育もそれに対応するようにできていて、私たちは小学校の頃から回答が一つしかない問題を何千、何万と解いてきました。誤解の無いように付け加えると、この方法が悪いわけではありません。問題が明確で、正確で連続的な作業が要求される場ではきわめて有効で、これはどんな時代でも必要な能力です。

ただ、成長が停滞している、あるいは停滞している時に、昨日と同じ事をしていたらどうなるでしょうか?そのまま停滞、衰退し続けるだけです。そこを打破するには、学校で教えてもらった能力の上に、さらに新しい能力を身につける必要がでてきます。

この新しい能力が、まさにこの本の根幹にある「起業家精神」であり、世の中のために勇気を持って「異質なこと」をする能力です。これは、実際に起業するしないにかかわらず必要です。アメリカでは弁護士業務の一部をインドにアウトソースしているくらいで、士業のようなプロフェッショナル・サービスですら昔のように資格をとって看板をあげれば仕事がくるというほど甘くありません。

15年前、外出時に携帯電話で通話していると白い目で見られたものだったし、「電話は家でじっくりとするものだ」という反論をよくされたものだったが、今や、固定電話で電話をすることのほうが少ない。「キーボードがない、マウスがない」と非難されているiPadだって、10年後には、コンピュータのメインストリームになっているかもしれないのである。

内容的に合わせて読むとよさそうな本も挙げておく。

金持ち父さん貧乏父さん

金持ち父さん貧乏父さん

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