ラギッド・ガール、拡張現実の概念、そして未来を模索できる場所
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最終更新日:2014/01/27
ハッカーズカフェ
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拡張現実界隈で「世界に対してクリックする」というような概念をよく聞く。
昨日の講演「モビリティとリアリティ~空飛ぶケータイとクリックできる世界」では、非常に示唆的なご質問をいただきました。その場で十分にお応え出来なかった部分も盛り込んで、自分なりのご回答をブログ上でさせていただきたいと思います。
つまり,デスクトップ環境で言えば,携帯をマウスのように見立てて操作することで,「Click on the real world」を実現するというわけだ。
こういった話を聞いたときに、僕は「ラギッド・ガール」の以下の箇所を思い出す。
「ぼくはね、現実世界に対してなんで右クリックが利かないのか、それが子どもの頃から歯がゆくってさ」
初対面の日、学内のカフェテリアでランチをぱくつきながら教授はそう言った。思わず訊きかえした。
「それは、あの右クリックですか」
「うん。あの右クリック」
ちょっとなつかしい。もうあのデバイスはないけれど、この言葉だけはかろうじて残っている。
「・・・現実に右クリック?」
「だって理不尽じゃないか、西日に向かって運転するとき、だれだって太陽のあかりを落としたいと思うでしょう?」
「そうでしょうか」ふつうはサングラスの算段をするはずだろう。
「学内のカフェでありついたパスタのソースに我慢できないときに」教授はパスタの皿にフォークを寝かせた。
「視界のすみにスライダを表示させて味のバランスをいじりたくならない?」
ラギッド・ガールについては下記をご参照下さい。
ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 62回
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人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった―“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く書き下ろし「魔述師」、“夏の区界”を蹂躙したランゴーニの誕生篇「蜘蛛の王」など全5篇を収録。“数値海岸”開設から長篇『グラン・ヴァカンス』に至る数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する“廃園の天使”シリーズ待望の第2章。
Amazon.co.jp: ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション): 飛 浩隆: 本
「ラギッド・ガール」のこのシーンで興味深いのは「スライダで味をいじる」という部分であるように思う。皿の横にスライダを出すと聞いてすぐに連想するのは下記のレストラン。
奇妙なもの見つけました。
タッチパネルテーブルがあるレストラン。
“inamo”
ロンドンにあるそうですが、何とも奇抜なデザインを採用しています。
料理はアジアフュージョン。
奇抜というのは、テーブル。
タッチパネルでの注文、会計は日本でも大手チェーン店などで見られますが
こちらは、テーブル上がタッチパネルになっている、更に、皿の上に選択したメニューの
イメージまでも表示するもの。
天井からプロジェクターを使用して写し込んでいるそうです。
まだあります。このタッチパネルは優秀で、会計、割計算、次に行く場所を調べるなど
すごい内容です。
実際に使用してみたいものです。
しかし味についてはどうだろう?拡張現実と言えば「マーカーの上に3Dの初音ミクが出る」などのような「視覚の拡張」について指すことが多いと思う。
しかしその他の感覚の拡張についても様々な可能性があると考えている。先日の「ITproビジネス・カンファレンス『AR(拡張現実)ビジネスの最前線』」においても、橋本氏が以下のようなことをおっしゃられていた。
ARの仕組みを理解する 橋本直氏
触覚、聴覚、平衡感覚、味覚、食感などあらゆる感覚情報がターゲット
生活に根ざした実用的なアプリケーションを作り、認知・普及させていく必要性
ITproビジネス・カンファレンス『AR(拡張現実)ビジネスの最前線』に関するメモ – 拡張現実ライフ – Kinect(キネクト)編
アプリケーションレベルでの可能性を模索していく時、画像認識の精度であるとか、拡張現実の言葉の定義・範囲についてはあまり深く考えないようにしている。
例えば去年の夏に実施した電脳スターラリーにおいても、以下のような「ステレオ音の配信による没入感の実現」については構想の1つに入っていた。時間的な事情で実現できなかったのが残念。
いまの技術でできることを積極的に実践していく精神には感服です.
特にGoogleStreetViewはこういう使い方を待っていた(というかやりたかった).
いずれもっと回線が太くなれば,ステレオ視とかステレオ音をリアルタイム配信して
より没入感のあるものが楽しめるようになるんでしょうね.自宅でHMDかぶって
テレプレゼンス的なものが.
「今の技術では精度が出ない」、「今の技術では味覚の配信は難しい」などのような議論は個人的にはどうでもいいと思っている。いずれ時間が解決してくれる。僕は技術の進歩を信じる。
我々が目指しているのは21世紀のライフスタイルカンパニーです。
テクノロジーは進化します。
我々のライフスタイルも進化しなくてはならない。
“Believe in technology”それが我々の革命です。
今できることを幅広く活用し、未来を模索する。これに必要なスピード感、およびコラボレーションの幅を持っているハッカーズカフェが、今とても面白い場所であるということを伝えたい。
さておき「ラギッド・ガール」であるが、拡張現実および仮想現実の周囲および内部で起こる残酷な、美しい、あるいはエロティックな人間ドラマ・物語が展開され、とても引き込まれる作品である。基本的には仮想現実に焦点を当てた作品ではあるけれど、ARのある未来に関するイメージをふくらませるためのヒントとして、この作品には是非目を通しておきたい。
ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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