Changing Time, Changing Publishing 時代は変わって、出版も変わる
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最終更新日:2013/11/05
コラム・雑記
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最近「とある魔術の禁書目録」を読んでいるのですが、巻末に以下のような文章が掲載されていました。
電撃文庫創刊に際して
文庫は、我が国にとどまらず、世界の書籍の流れのなかで “小さな巨人” としての地位を築いてきた。古今東西の名著を、廉価で手に入りやすい形で提供してきたからこそ、人は文庫を自分の師として、また青春の想い出として、語りついできたのである。
その源を、文化的にはドイツのレクラム文庫に求めるにせよ、規模の上でイギリスのペンギンブックスに求めるにせよ、いま文庫は知識人の層の多様化に従って、ますますその意義を大きくしていると言ってよい。
文庫出版の意味するものは、激動の現代のみならず将来にわたって、大きくなることはあっても、小さくなることはないだろう。
「電撃文庫」は、そのように多様化した対象に応え、歴史に耐えうる作品を収録するのはもちろん、新しい世紀を迎えるにあたって、既成の枠をこえる新鮮で強烈なアイ・オープナーたりたい。
その特異さ故に、この存在は、かつて文庫がはじめて出版世界に登場したときと、同じ戸惑いを読書人に与えるかもしれない。
しかし、 <Changing Time, Changing Publishing> 時代は変わって、出版も変わる。時を重ねるなかで、精神の糧として、心の一隅を占めるものとして、次なる文化の担い手の若者たちに確かな評価を得られると信じて、ここに「電撃文庫」を出版する。
1993年6月10日 角川歴彦
最近何かと話題の電子書籍ですが、電子書籍は、世界の書籍の流れの中でどのような地位を築いていくのでしょうか?最近のニュースをチェックしてみると、米国では電子書籍の書籍全体におけるシェアが8.3%に達したとのことです。去年は3.3%だったとのことで、今年の下半期は更に伸ばしていくことが予想されます。
【ニューヨーク共同】米出版社協会(AAP)が19日発表した2010年上半期の米国42件での書籍売上高(推計)によると、電子書籍42件が前年同期の約3倍の約1億7970万ドル(約150億円)と大幅に増加し、書籍全体におけるシェア(占有率)が8・3%に達した。09年は3・3%で、5ポイント伸ばしたことになる。 同協会は、インターネット小売り大手アマゾン・コムの電子書籍端末「キンドル」などの普及と、電子機器大手アップルが4月発売した電子書籍に対応した「iPad(アイパッド)」のヒットが市場拡大を後押ししたとしている。p… [記事全文]
手に入りやすい形で提供される書籍が人の師となり、青春の想い出となるならば、電子書籍はその「いつでもどこでもワンタップで入手できる」という性質から言って、紙の文庫以上の存在になる可能性を十分に秘めていると言っていいと思います。
電撃文庫が文庫におけるアイ・オープナーだったのだとすれば、果たして、KindleやiBooksは書籍の歴史におけるアイ・オープナーとなるのでしょうか?
<Changing Time, Changing Publishing>
1993年の時点で「時代は変わって、出版も変わる」というコンセプトの元、電撃文庫というものが生まれたのだとすれば、それから17年も経った今年、「時代は変わって、出版も変わる」新しい精神の糧が生まれる可能性は十分にあるのだと思えます。

- 作者: 平野敦士カール,アンドレイ・ハギウ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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