「知性の拡張を志向すること」こそが、「現実拡張(AR)」の真髄である
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最終更新日:2014/01/28
AR(拡張現実)
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とある方からタイトルのような言葉を教えて頂いた。自分が考えてきたことを最もよく表している言葉かもしれない。
自作拡張現実メガネは「いつでもどこでもTwitterを視界の片隅で見ていたい」というちょっとしたアイディアから始まり、秋月電子における地磁気センサーとの出会い、「L:東京都江東区」などの位置情報を活用した視界方向連動のTwitterクライアント、そして初めてのシリアル通信との格闘などを経て、MAKE Tokyo Meetingでの発表・展示となった。以下、当時撮影した写真や、作成したシステム図など。
TwitterはCGMの一種であり、それと連携するTwitter検索やふぁぼったーなどはCGMアプリケーションと言えるかもしれない。当時からそういったサービスとの連携をイメージしていた。「こんなもの、ずーっと以前から研究されているよ」と言われることもあるけれど、個人で手作りし、実際に使って見ることも重要であると考えている。
さておき、当時僕はTwitterにとにかくハマっていて、単なるコミュニケーションの道具というよりは、ソーシャルシンキングログとして活用していた。しかし携帯のフルブラウザなどでTwitter検索を使うのはとても面倒であった。携帯の狭い画面を見つめたり、テンキーをポチポチと押すことは本質ではなかった。
そして、彼らの Twitter に書かれていたのは、
起きたとか寝たとかご飯を食べたとか移動したとか、
そういう意味でのライフ・ログだけではなく、
思ったことや感じたことが綴られている、
いわばシンキング・ログのようなものだったのである。
これならば飽きることなく毎日読みたいと思うどころか、毎時間でも読みたい。
ハッカーズカフェの面々はTwitterやSkype Chatなどを日常的に活用している。その界隈において「リナカフェなう」や「起きた」などのシンキングログではないちょっとした発言も、コラボレーション活動において大きな意味をもつ発言である。
会社などの組織において同じオフィスや同じ時間帯で働くことは前提にあって、その上で仕事のプロセスというのは進行していく。しかしハッカーズカフェのような形態の緩いつながりのグループにおいて、コラボレーション活動の前提条件は大きく異なる。ハッカーズカフェにおいて、他のメンバーの居場所を知ることは優先事項である。Skype Chatのログを解析すれば、おそらく「いまどこ」という発言がかなりの頻度で検出できるはずである。そういった意味で、エクストリームアドホック(忘年会|新年会)は大変興味深いイベント・サイトであった。このエクストリームアドホック(忘年会|新年会)を拡張現実アプリケーションとして実装することは僕にとって優先事項の1つである。
秋葉原を中心とした電源の確保、ネット環境の確保、机と椅子の確保というのは非常に重要な課題である。このあたりについてはチェ・ゲバラのゲリラ戦争に関する書評と絡めて、後日改めてエントリを書き記す必要がある。
- 作者: チェ・ゲバラ,Ernesto Che Guevara,甲斐美都里
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さておき、1962年「Augmenting Human Intellect: A Conceptual Framework」という研究レポートを発表したダグラス・エンゲルバートという人は「知的作業における個人とグループのプロセスの改善」を目指していたようだが、僕が拡張現実に求めているのはまさにそれである。ARマークの上に初音ミクが表示されるというのは驚きをもたらすけれど、少なくとも自分がイメージしている方向性において本質ではない。
以下、Wikipedia、知能増幅のページからの引用である。
知能増幅(Intelligence amplification、IA)とは、情報技術の活用によって人類の知能を増強するという考え方。1950年代から1960年代にかけて、サイバネティックスや初期のコンピュータ関係者によって理論が構築された。認知強化(Cognitive Augmentation)、機械による知能強化(Machine Augmented Intelligence)などとも呼ばれる。
エンゲルバートは、現在の技術状態レベルが我々の情報操作能力を規定するとし、それ故に我々は新たな技術を開発し続けると論じた。従って彼は情報を直接操作するためのコンピュータベースの技術を開発する革新的な仕事を求め続け、知的作業における個人とグループのプロセスの改善を目指してきた。エンゲルバートの哲学と研究課題は1962年の研究レポートAugmenting Human Intellect: A Conceptual Frameworkに明確に示されている。彼はこれを「バイブル」と呼んでいる。ネットワーク強化知性の概念はエンゲルバートの基礎的研究が元になっている。
「複雑な問題に対処するため、状況に応じた認識を得て、解決策を引き出すために人間の能力を増強する。
この点での増大した能力は、かつては複雑すぎた状況に対するより高速な理解、より良い理解、より深い理解、またかつては解決不能と思われた問題への解決策をより早く、より良く見つけ出すことなどを意味する。またここでいう複雑な状況とは、それが20分間の問題か20年間の問題かに関わらず、外交、経営、社会科学、生命科学、自然科学、法律、設計などの専門的な課題を含む。
我々は特定の状況を解決する賢いからくりについて話しているのではない。状況に対する直感、試行錯誤、曖昧さ、感覚と共に、強力な概念、効率化された用語と表記法、洗練された手法、高性能電子機器が共存する生活様式の話である」
僕の夢というか希望としては、やはり人のクリエイティビティ、ないしは知的生産性を強化する拡張現実アプリケーションを使いたい。ではどのようなアプリケーションがそれを満たしてくれるのか?これを知るためにはやはり日常的に拡張現実アプリを試作し、その使用感および有効性を日々検証していく必要があるのかもしれない。
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